無知と無能の間に

無知無能者、固人之所不免也

トランプ氏の経済政策

トランプ氏の予備選挙勝利のニュースを聞いて、「まさか」と受け止めつつも、「もしかして」が頭をよぎる今日このごろ、皆さんどうお過ごしでしょうか。

トランプ氏の発言は移民帰れやメキシコに壁を作ろうなどの発言ばかりで、いったいどういう経済政策を取ろうとしているのか、少し調べてみた。簡単にまとめると以下の通りだ。

  • 税制を簡素化し、所得税を7段階から3段階に
  • 全階層に対する所得減税を行う。40%近い最高税率を25%に下げる
  • 低所得の家計や個人には課税しない
  • 法人税率を35%から15%に引き下げる

クルーズ候補を金持ちの代弁者と攻撃しているが、高所得者への優遇を隠して、はばからない。それにもまして、アメリカの財政を一気に壊すような政策で、仮にトランプ氏が主張している日本を含む在外米軍を全部撤退してもまだ財源が足りない規模だ。

万が一、トランプ氏に大統領につけば、現実路線に舵を切るしかない(と希望的観測で思う)。しかし、そんなことをすれば一気に支持率が下がるはずで、政権が青島幸男都政化しかねない。古い例えですまない。

それにつけても、アメリカのトランプ支持者たちは、本当にトランプのマニフェストを読んでいるのだろうか。読んでいないのだろうね。

基地外の和解

※タイトルに悪意はありません。あしからず。

沖縄県普天間基地移設問題で辺野古での埋め立てについて、政府が和解に応じて、沖縄県との交渉テーブルにつくことになった。

この合意について、沖縄の基地問題参議院選挙の争点にならないように、一時的に議論を棚上げしたという意図があると巷ではいわれている。

それ加えてに、アメリカ大統領選挙の結果次第で、辺野古移転が白紙に戻る可能性がでてきたという判断もあるのかもしれない。トランプ氏は沖縄からの撤退どころか、在日米軍の完全撤退(または100%の基地負担)を言い出している。クリントン氏は現路線の継承を言っているが、在日米軍を含めて海外に展開している米軍の配置を見直すことは避けられないだろう。

いずれにせよ、安倍政権は賢い。安倍氏が賢いかどうかは疑問だが、政権としては賢い。ブレーンが知恵をつけたのだろうが、失敗を避ける極めて優秀な官僚的な判断だ。安倍政権を倒すには、そうとうな策士でなければ実現できそうにないことは、確かだろう。

ババを引くのは誰だ

日本時間で3月16日に、2016年アメリカ大統領選挙予備選挙の「ミニ・スーパー・チューズデー」の結果がでた。

共和党は、トランプ氏がフロリダ州を取って、地元だったルビオ氏が撤退を表明した。また一歩指名獲得に近づいた。民主党の方は、サンダース氏が後退、クリントン氏が指名に大きく近づいた。

共和党の主流派は総力を上げてトランプ氏を批判しているが、効果が薄いばかりか、逆にトランプ氏を利する結果になっている。もともと、キューバ移民であるルビオ氏を候補者にして、ヒスパニック系を取り込み政権奪還を目指すつもりだったのだろうが、もろくも崩れ去った。

共和党は最後の全米党大会まで、トランプ氏に過半数を取らせないようにし、最後の最後で党大会の決選投票で別の人物を候補者としてひっくり返す算段を考えているというニュースも流れている。主流派が担ぎだそうとしているのはライアン下院議長だという。

それがダメでも、第三の候補者を立てて、意地でもトランプ氏が大統領の座につくのを防ごうということも以前、噂にあった。共和党がトランプ氏、民主党がサンダース氏が候補者となった場合は、前ニューヨーク市長のブルームバーグ氏が第三の候補として立候補するかもしれないということを匂わせた発言もあった。

そもそもの要因として、アメリカ大統領選挙を闘いぬくには多額の金がいる。いかに理想に満ちていても、選挙資金を調達できなければ、当選できない。資金の提供者はウォール街だったり実業家だったりするわけで、金持ちに配慮した政策を示さなければならない。これは伝統的に小さな政府を志向しているという共和党の傾向だ。その一方で、格差が広がり、特に下層に属する白人の不満は大きいという。

共和党がトランプ下ろしをすすめるほど、共和党を伝統的に支持してきた下層の白人たちが反発する。ジレンマだ。もしかしたら、共和党は今回の選挙で空中分解してしまうのかもしれない。

事実上の金ちゃんのドンとやってみよう

北朝鮮がロケットを打ち上げ、人工衛星が極軌道を回っている。それについて、日本のマスコミでは「人工衛星と称する事実上の長距離弾道ミサイル」という表現をつかっている。これぞ日本語による政治表現の極みという言葉だ。

「特命係長という名の事実上の窓際族」

「デリバリーキャストと称する事実上の郵便配達員」

「あの人は、自宅警備員と称する事実上のニート

いろいろと活用範囲の広い言葉だ。

光明星ロケットの動画

それはさておき、今回北朝鮮があげた「人工衛星と称する事実上の長距離弾道ミサイル」の打ち上げの様子を伝えた朝鮮中央テレビの動画がYoutubeにあがっている。

参考にあげた記事と併せ読むと、なかなか面白いことがわかる。以下、ポイントをあげる。

  • 射点設備(ロケット発射台)がより、大型。画面で見ると高さ方向で2倍弱程度ある
  • ロケット推進剤の貯蔵設備も増強
  • 発射を見上げる金正恩のカットが静止画(きっとPhotoshopだろう)
  • 一段目切り離しの動画を地上で受信できている(部品が落下しているカットも)

このまま大陸間弾道弾を目指すのか

マスコミ報道では、「事実上の長距離弾道ミサイル」とし危機を煽っているが、いまのままでは大陸間弾道弾を満たしていない。なぜなら大陸間弾道弾で必要になるのは、大気圏再突入時の衝撃と高温から弾頭(核爆弾)を守り、着弾地点で起爆動作できなければならない。発射から再突入までに生じる衝撃や振動から誤爆を防ぐ対策が必須になる。果たして、本当にこれらの課題に着手しているのだろうか?

いろんなニュースや解説を読んでみても、いまひとつ腑に落ちない。マジでアメリカと核兵器で丁々発止をするつもりなら、人工衛星で遊んでいる暇はないはずなのだ。

金正恩の野望についての仮説

ここで金正恩の野望について仮説を打ち立ててみる。

金正恩は、自国のロケットで自ら宇宙飛行をしようという野望を持っている。マジで。

さよう、この仮説は馬鹿げている。発射台も光明星ロケットの2倍の大きさということは、大型のロケットの布石であろう。これだけをもって有人宇宙ロケットを目指しているという論拠にするのは無理がある。

合理的に考えれば、この仮説は話にもならないものだ。可能性はほぼゼロ。ただ、独裁者、いや人間というものは合理的な判断ができない存在だ。

先にあげた朝鮮中央テレビの衛星打ち上げの様子も、アポロ計画の映像を強く意識したと思えるカット割りだった。ロケットの研究開発している部門は「NADA」。ロゴマークはおもいっきりNASAを意識している。

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ヒトラーソ連軍が迫り、追い詰められるなか、新首都のゲルマニアの都市設計に夢中だった例を引き合いにだすまでもなく、独裁者というのはロマンチストであったりする。

それに実際、金正恩が宇宙に飛び立ち、永遠にお星様になってほしいと思っている北の方々は多いと思うぞ。

参考

金庫を買う人々

日銀がマイナス金利を導入して、金庫が売れているというニュースが流れた。ニュースによると、「マイナス金利の影響」で今後預貯金に手数料が取られる可能性があるからだとしていた。

口さがないネット民の間には「一般預貯金でマイナス金利になることはありえないのだから、典型的な詐欺的商法」のような書き込みがあったりした。

その可能性は無くはないが、外国の金融機関の例だと少額の口座に維持手数料を取るケースがほとんどで、金庫を買っている層はマイナンバーで資産を当局に補足されるのを恐れているからではないのだろうか。

株取引をしている人たちのBlogや掲示板を時々読む。そこで、ニュースや発表を恣意的に都合よく解釈している姿をみると、とても合理的判断をしているようには見えない。合理的判断をしていないが、ある程度の資産蓄積がある。彼らは不合理であるにも関わらず賢いのだ。

ありがとう出来レース

消費税の軽減税率の議論が合意に達したら、しれっと新聞が消費税の軽減税率の対象という報道が唐突にでてきた。さんざん、軽減税率の食料品の議論が紛糾していたにもかかわらず、あっさりと、ほとんど議論もされず、決定事項として伝えられた。安倍首相が定期的に新聞社の取締役や主筆記者たちと食事会を開いているという話はあったが、ここまで露骨に政治取引をするものなのか。

日本新聞協の声明よると、「民主主義を守るため」という言葉が、恥じることなく掲げられている。

新聞社の狙い

では、新聞社各社が軽減税率の導入で新聞離れを食い止められると思っているかといえば、そうではないだろう。2%程度の価格上昇は、消費者にとって大きい。家計見直しで不要不急のものの購入をやめるという動きは、そりゃ、出てくるだろう。しかし、裏から手を回すやり方まで使って軽減税率を認めさせたということは、新聞社が新聞を不要不急のものだと自ら認めたと言っているに等しい行為だ。

ただ、一点注目すべき点は、新聞の軽減税率は、紙媒体だけで、電子版は入っていない。

電子版が軽減税率を除外したことから、軽減税率の狙いは「宅配制度の維持」にあるということだ。例えば新聞各社からでている「電子版」だが、一部の新聞社を除いて「紙媒体」とほぼ同じ価格を設定している。紙印刷、輸送、宅配のコストからみてもどう考えても割高だ。必要以上に高い利益率をとっているといえる。もっと価格を低めに設定すれば売上げ拡大が見込めるにも関わらず、だ。

新聞社本社サイドからすれば、電子化を拡大したいという目論見はある。が、宅配制度をスクラップするつもりもない。建前でもなんでも、弱者の立場の代弁者を取ってきた以上、新聞販売店を一気に切り捨てることはできないということなのだろう。

一方で、読売新聞はプランタン銀座や旧東京電力銀座支社本館などを所有、朝日新聞有楽町マリオン、大阪の中之島フェスティバルタワーなどを所有していて、実態は新聞発行というより不動産業者というような状態だ。このままゆっくりと新聞と宅配制度を殺して、正真正銘の不動産会社になるという手もある。彼らが、新聞事業を将来どうするつもりなのか、考えているのか、もしかして何も考えていないのか。

いずれにせよ、「民主主義を守るため」というような大言壮語、誇大妄想、事実上の嘘ではなく、「宅配制度の維持」が必要だと本音を述べたらまだ議論の余地があった。やはり我々の新聞社もザJAPANESEだったということだ。

参考

ポータブックが紡ぐ物語

キングジムが販売する「ポメラ」という商品がある。見た目は電子辞書のような形だが、キーボードを折りたたむことで、打キー時のやりやすさを保持できるサイズのキーボードを有する文字入力専用機だ。乾電池で動き、立ち上げ時間を考慮することなくテキストタイピングに特化したという点では評価できた。実際、ポメラシリーズは30万台を売り上げたという。

ポメラの後継

しばらく新製品の展開のアナウンスが無かったが、2015年末にポメラの後継機が登場するという話が出回った。そして、キングジムが「ポータブックXMC10」を発表した。ポメラではく、Windows10を搭載したノートPCであった。価格は9万円前後とのこと。スペックと価格が見合ってないという話であるが、そもそもデザインが剽窃だという話が出回った。インダストリアル・デザイナーの川崎和男氏がアップルコンピュータに向けてデザインした「MindTop」の持つキーボードの折りたたみ機構と正方形の設計がそっくりだ。

ポインティングデバイスも昔のTinkPadそのままだったりする。

ポータブックのデザインをまとめると

実際、川崎氏は憤慨を表明していたりする。

物語で売るやりかた

また、ポータブックでは象徴的なこともあった。

製品発表当日の夜、ワールドビジネスサテライトに製品開発者なるソニーから転職してきたというエンジニアが登場する。彼の発想が製品化の原点であるという物語が流布される。セールストークなのだろうが、ポメラの時も左遷社員のアイデアから製品化という物語がうまくいったので、成功体験を再びというところか。

UPQでもそうなのだが、物語を紡がないと売れないのだろうか?機能や価格その他の差別化だけでは苦しいのだろうが、このような安易な物語で売れるようになるのだろうか?

どうせ物語をつくるなら、川崎氏に喧嘩をふっかけて法廷バトルでもして、炎上マーケティングを全面展開してくれたほうが面白いのだが。残念ながら、この件についてキングジムは「ポータブックのデザインに関して本製品は特許・意匠・著作権上問題ないこと確認済みであり、川崎氏がデザインされたMindTopを模倣したものではない」との見解をだしている。とても残念だ。

まとめ

  • ポメラを進化させるのではなく安易にノートPC化させた
  • キングジムは、製品化スピードを口実として、製品に対する自らの考えの浅さを露呈した
  • このような安易な製品を物語で誤魔化して売ることがキングジムの社是

剽窃の有無はこれ以上追求しないが、キングジムの製品に対する考え方の浅さには驚いた。レノボのプロジェクター内蔵タブレットの方が、まだチャレンジしている。

参考