BOPは未来か
BOPという言葉を知る。特にエレクトロニクス分野で競争に負けつつある日本企業の希望になりうるという論調を読んで、興味が出てきた。
BOP
BOPという言葉のもとになったのは、ミシガン大学教授のプラハラード氏の2002年の著書『The Fortune at the Bottom of the Pyramid』(邦題『ネクスト・マーケット』)である。当時は、ゴールドマン・サックスの造語「BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)」に代表されるように新興国が注目を集めており、その次にやってくる市場としてBOP(Bottom of the Pyramid)の攻略を示した。当時の世界人口55億人のうち、一日2ドル以下で生活している層が40億人を占めており、この「貧困層」を「顧客」に変えるマーケット戦略の必要性を説いた。一方で、プラハラード氏の提案は、「先進国の大企業が、途上国の貧困層を搾取するビジネスを推奨している」と批判された。
さて、このBoPの考え方を一歩進めたのが、スチュアート・L・ハートの本『Capitalism at the Crossroads』(邦題:『未来をつくる資本主義』)である。BOPを「Base Of Pyramid」と再定義した。このBOP層で彼らとともに、彼らのニーズにあう製品やサービスをつくりあげていく。その結果としてBOP層の生活レベルの向上を目指そうというのが、現在のBOPの考え方だ。
真の「持続可能なグローバル企業」とは、世界の貧困国(BOP)のクオリティ・オブ・ライフを高め、後世のために地球の生体系の健全性を守るビジネスを創造し、なおかつ利益を上げる企業である。
21世紀に求められるのは、多くの犠牲を払い少数に富をもたらした産業革命の資本主義ではなく、経済ピラミッドの底辺(BOP)に想像を絶するほど莫大なビジネスチャンスをつくり、既存企業の地位をも奪う、新しいダイナミックなグローバル資本主義である。
1日5ドル以下で生活する人々
BOP層と呼ばれる世界で1日5ドル以下で生活している人々の数は、40億人にのぼる。世界の人口の1/3にあたる。基本ニーズを満たすためには、1日2ドルが必要とされ、1日1ドル以下で生活している世界の人口は11億人もいるという。
生産と消費の交流
BOPを考える上で、先進国と途上国の間で製品やサービスがどのように流れるかを分類してみた。もちろん、これらの複合した形はあるだろうが、考がえやすくするため、あえてシンプルに以下の4つに分けた。
- 先進国で生産⇒途上国で消費
- 途上国で生産⇒先進国で消費(現在主流の多国籍企業のビジネスモデル)
- 途上国で生産⇒別の途上国で消費(途上国同士の相互補完)
- 途上国で生産⇒自国で消費(地産地消モデル)
「途上国で生産し、自国で消費」する「地産地消モデル」が途上国の自立への一歩であるように思うが、実際はどうなのか。
留意すべきこと
BOPは答えではない。問題を解決するための方向性を示したにすぎない。
今後、具体的に行われているBOPビジネスを調べていこうと思う。