無知と無能の間に

無知無能者、固人之所不免也

球缶鳥

球缶鳥は、非常用のパンの缶詰。栃木県那須高原にあるパン・アキモトという会社が運営しているプロジェクトだ。

ビジネスモデル

球缶鳥は、パンの缶詰で球缶鳥の賞味期間は3年間。購入者は、2年間、有事の際の非常食として備蓄しておく。2年後に下取り価格で、このパンの缶詰を回収輸送し、NGOを通じて義援国へ送られる仕組みになっている。

顧客にとっては「賞味期限間近の非常食の処分が不要になる」「義援国に対して小さい支援を行うことで篤志を満たすことができる」という利点がある。

一見すると、優れたビジネスモデルに見える。ただ、マイナスになりうる面も見ておく必要がある。

考えなければいけないこと

  • 物流コストが余計にかかる 製造から最初の販売先への輸送、備蓄先からの回収、義援国への輸送と3つのパスが存在する。販売だけ、支援だけなら1パスであるため、物流コストの負担が大きい。途上国に1年間分の賞味期間を置いているのは、ある程度(海外コンテナのスペースが埋まるまで)、回収数が貯まるまで国内に保管しておくためだろう。

  • 食料援助は一時的措置 災害や不作で食料不足の窮地に陥った地域に、このような物資を支援することは役に立つ。ただ貧困者を自立をさせるためには、このような直接的な支援よりも「自立を即す」やり方がないと、次にはつながらない。

  • 非常食は常食化するべき 災害時プランナーの人が言うには、「非常食は、常食化するべき」という。なぜなら、緊急事態において、空腹を満たす行為は、数少ない至福の時だ。その時になって初めて食べた非常食が「自分の思っていたものと違う」というのはストレスになりうる。だから「普段から食べ慣れておく」のが重要なのだそうだ。そして「自分の口にあう非常食を選んでおく」ことが、「まさかの時の活力源」になる。であれば、途上国の貧困層に譲渡するのではなく、自分で食べるという方が良い。

イデアは良い。耳目を引く。ただ、もっと優れた手法があるように感じる。