無知と無能の間に

無知無能者、固人之所不免也

青年海外協力隊、隊員の生態〜その7〜山崎隊員の協力隊廃止論

青年海外協力隊員たちの生態(7)〜協力隊廃止論

青年海外協力隊の経験者が廃止論を唱える例を探した。事前の予想通り、骨の折れるものだった。あるにはあるのだが、論理展開がむちゃくちゃだったり、幼稚だったり、無根拠の感情論だったりで、ある程度まとまったものがなかなか見つからなかった。それに、単なるJICAへの悪口や制度のまずさへの批判をしただけのものがほとんど。制度を見直すであったりとか、途上国派遣の制度がそもそも必要なのかというの批評になっていないものがほとんどであった。

ネットで調べた中では、1999年から中南米グアテマラに派遣された山崎健介氏のものが、まとまっていた。書籍で参議院の参考資料として取り上げられた「青年海外協力隊の虚像―天下りの温床」がある。ただ、図書館で斜め読みしたところ、いままでの隊員ブログで取り上げていた愚痴の範囲からでておらず、廃止論や改変案への理論構築がなされていなかった。であるので、今回は、ネット上で公開されている(末尾の「参考」のリンク先を参照)山崎健介氏の論を読み解いてみることにする。

山崎健介氏の論の根底にあるもの

  • 優生思想
  • 徹底的な競争至上主義
  • 小さな政府志向 ++ 政府の支出を抑えるために、高齢者・障害者への福祉介護切るべき

いわゆる極端なネオリベに属する人。「弱い人間は野垂れ死すればいいし、政府や社会が救いを差し伸べる必要ないよね」という人だ。

書いていて、「お、おう」な内容なのだが、これより適切な協力隊廃止論を見つけられなかった。ただ、氏の持つ政治性および、政策提言や協力隊の派遣制度の是非について、ここではスルーし、彼の協力隊廃止論に焦点をあてる。グアテマラで何を見たのか、なぜこの論に行き着いたのかは興味深いところではある。

山崎健介氏が取り上げる協力隊の問題点と改善への方向性

氏の指摘する問題点と改善への方向性は以下の通りだ。

  • 理想をかかげつつも、現状は、官僚組織特有の組織防衛の論理によって、惰性で運営されているだけ
  • 自分の能力開発に費やさなければならない若い時期に、協力隊での意味のない活動により無駄にしている。後々にツケを払わされる状況がある
  • 協力隊制度をシニア限定にして、年寄りを途上国に捨てる。若い人間は国内の生産性に寄与させる
  • いうなれば現代の姥捨て山にする

氏が述べるように協力隊員が反社会的勢力という極端なラベルを付加しようとは思わない。ただ、これまで協力隊員のブログを読んでみて、その自己横溢にうんざりしたのは、たしかだ。協力隊に参加する人間が極端に嫌われるというのはわかる気がする(私も偏見をもちつつある)。そして、協力隊員の諸問題に通底することの一つは、こういうような人間と2年間の閉鎖環境下でともに生活していかなければならないことなのだろう。

日本人の集まる所、それは常に「村」化するということなのだろうか。

参考