無知と無能の間に

無知無能者、固人之所不免也

企業経営者が右傾化する訳

『日教組を破壊せよ』

感想:呆れた。

日教組を破壊せよ」という赤尾敏とか、ネトウヨのような単純なメッセージでブログを書くというのは、どういうことなのか。現状の日教組の組織率はすでに3割を下回っているとか、文科省ともすでに和解しているとかいう話をしても仕方がない。ただ気になった部分を引用する。

第二次大戦後、進駐軍司令官として日本にやってきたダグラス・マッカーサーは武士道に根差した日本人の卓越した精神力を根本的に破壊しようと計画し、戦後教育を通じてそれは着実に実行しました。それが今日の日本人の精神的・道徳的退廃を招いた、といっても過言ではないでしょう。

(中略)

とにかく日教組を打っ壊し、受験勉強だけを主体とした教育から道徳教育を中心に据えた教育へと制度転換を図るのです。国歌斉唱など人に強いられてやるものではなく、然もいい大人に強いてみたところで無意味ではないかと思います。

ある種の経営者がなぜ道徳教育の信奉者になるのか

北尾吉孝氏が「経営者」としては優秀なのは、いまさら説明するまでもないだろう。野村証券出身で、ソフトバンク孫正義の元でファイナンス部門を仕切り、その後ソフトバンクと袂を分かち、SBIホールディングス東証一部に上場させた豪腕経営者だ。

ただ、この手の叩き上げの経営者が、やたらと「道徳教育」やら「武士道」やらを語り、右側スピーカーの音量を上げていくのはなぜか。それでいて親米保守的(←「虎の威をかる狐」「武士の裏で暗躍する商人」「拝金主義」の別様態、堕落の極みだよね)な言動を振りかざしたりしている。

企業は軍隊組織がベースになっている。であれば、作戦立案や兵站計画するエリート士官以外は前線に配置する要員が必要になる。であれば、ある種の経営者が「兵隊」、「二等兵」あるいは「鉄砲玉」のようなものを集めたくなる気分になるのは理解できる。自分の命令に躊躇なく従い、実行し、弾除けとなり、責任を代行して腹を切ってくれる者が欲しいのだ。そのような兵隊、二等兵、チンピラ、鉄砲玉には、知性は最低限で十分、他の犠牲になる行動を正当化してくれる思想を持ってくれていたほうが、なにかと使い勝手が良い。

ある上場企業の経営者の人は「そんな前時代的な経営者はいずれ消えるよ。ネット社会では威圧的な経営者はネットに晒されて集中砲火をあびるから」と言っていた。そうなって欲しいと思う反面で、難しいのではなかろうか。恐らく、この手のマッチョ思想の経営者はこれからも出現し、一定の数を占め、時には勢力拡大することもあるだろう。経営者の口から「道徳教育」「武士道」という言葉が聞こえてきたら、よくよく注意したほうが良い。