無知と無能の間に

無知無能者、固人之所不免也

ありがとう出来レース

消費税の軽減税率の議論が合意に達したら、しれっと新聞が消費税の軽減税率の対象という報道が唐突にでてきた。さんざん、軽減税率の食料品の議論が紛糾していたにもかかわらず、あっさりと、ほとんど議論もされず、決定事項として伝えられた。安倍首相が定期的に新聞社の取締役や主筆記者たちと食事会を開いているという話はあったが、ここまで露骨に政治取引をするものなのか。

日本新聞協の声明よると、「民主主義を守るため」という言葉が、恥じることなく掲げられている。

新聞社の狙い

では、新聞社各社が軽減税率の導入で新聞離れを食い止められると思っているかといえば、そうではないだろう。2%程度の価格上昇は、消費者にとって大きい。家計見直しで不要不急のものの購入をやめるという動きは、そりゃ、出てくるだろう。しかし、裏から手を回すやり方まで使って軽減税率を認めさせたということは、新聞社が新聞を不要不急のものだと自ら認めたと言っているに等しい行為だ。

ただ、一点注目すべき点は、新聞の軽減税率は、紙媒体だけで、電子版は入っていない。

電子版が軽減税率を除外したことから、軽減税率の狙いは「宅配制度の維持」にあるということだ。例えば新聞各社からでている「電子版」だが、一部の新聞社を除いて「紙媒体」とほぼ同じ価格を設定している。紙印刷、輸送、宅配のコストからみてもどう考えても割高だ。必要以上に高い利益率をとっているといえる。もっと価格を低めに設定すれば売上げ拡大が見込めるにも関わらず、だ。

新聞社本社サイドからすれば、電子化を拡大したいという目論見はある。が、宅配制度をスクラップするつもりもない。建前でもなんでも、弱者の立場の代弁者を取ってきた以上、新聞販売店を一気に切り捨てることはできないということなのだろう。

一方で、読売新聞はプランタン銀座や旧東京電力銀座支社本館などを所有、朝日新聞有楽町マリオン、大阪の中之島フェスティバルタワーなどを所有していて、実態は新聞発行というより不動産業者というような状態だ。このままゆっくりと新聞と宅配制度を殺して、正真正銘の不動産会社になるという手もある。彼らが、新聞事業を将来どうするつもりなのか、考えているのか、もしかして何も考えていないのか。

いずれにせよ、「民主主義を守るため」というような大言壮語、誇大妄想、事実上の嘘ではなく、「宅配制度の維持」が必要だと本音を述べたらまだ議論の余地があった。やはり我々の新聞社もザJAPANESEだったということだ。

参考