無知と無能の間に

無知無能者、固人之所不免也

事実上の金ちゃんのドンとやってみよう

北朝鮮がロケットを打ち上げ、人工衛星が極軌道を回っている。それについて、日本のマスコミでは「人工衛星と称する事実上の長距離弾道ミサイル」という表現をつかっている。これぞ日本語による政治表現の極みという言葉だ。

「特命係長という名の事実上の窓際族」

「デリバリーキャストと称する事実上の郵便配達員」

「あの人は、自宅警備員と称する事実上のニート

いろいろと活用範囲の広い言葉だ。

光明星ロケットの動画

それはさておき、今回北朝鮮があげた「人工衛星と称する事実上の長距離弾道ミサイル」の打ち上げの様子を伝えた朝鮮中央テレビの動画がYoutubeにあがっている。

参考にあげた記事と併せ読むと、なかなか面白いことがわかる。以下、ポイントをあげる。

  • 射点設備(ロケット発射台)がより、大型。画面で見ると高さ方向で2倍弱程度ある
  • ロケット推進剤の貯蔵設備も増強
  • 発射を見上げる金正恩のカットが静止画(きっとPhotoshopだろう)
  • 一段目切り離しの動画を地上で受信できている(部品が落下しているカットも)

このまま大陸間弾道弾を目指すのか

マスコミ報道では、「事実上の長距離弾道ミサイル」とし危機を煽っているが、いまのままでは大陸間弾道弾を満たしていない。なぜなら大陸間弾道弾で必要になるのは、大気圏再突入時の衝撃と高温から弾頭(核爆弾)を守り、着弾地点で起爆動作できなければならない。発射から再突入までに生じる衝撃や振動から誤爆を防ぐ対策が必須になる。果たして、本当にこれらの課題に着手しているのだろうか?

いろんなニュースや解説を読んでみても、いまひとつ腑に落ちない。マジでアメリカと核兵器で丁々発止をするつもりなら、人工衛星で遊んでいる暇はないはずなのだ。

金正恩の野望についての仮説

ここで金正恩の野望について仮説を打ち立ててみる。

金正恩は、自国のロケットで自ら宇宙飛行をしようという野望を持っている。マジで。

さよう、この仮説は馬鹿げている。発射台も光明星ロケットの2倍の大きさということは、大型のロケットの布石であろう。これだけをもって有人宇宙ロケットを目指しているという論拠にするのは無理がある。

合理的に考えれば、この仮説は話にもならないものだ。可能性はほぼゼロ。ただ、独裁者、いや人間というものは合理的な判断ができない存在だ。

先にあげた朝鮮中央テレビの衛星打ち上げの様子も、アポロ計画の映像を強く意識したと思えるカット割りだった。ロケットの研究開発している部門は「NADA」。ロゴマークはおもいっきりNASAを意識している。

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ヒトラーソ連軍が迫り、追い詰められるなか、新首都のゲルマニアの都市設計に夢中だった例を引き合いにだすまでもなく、独裁者というのはロマンチストであったりする。

それに実際、金正恩が宇宙に飛び立ち、永遠にお星様になってほしいと思っている北の方々は多いと思うぞ。

参考