無知と無能の間に

無知無能者、固人之所不免也

廃棄人間処理業者の黄昏

東海地方のローカル局である東海テレビが、9月28日の放送の『みんなのニュース One』で戸塚ヨットスクールでの合宿内容を放映した。この合宿はなんと「3~10歳」を対象としたもので、4歳児と5歳児に体罰を加える場面も放映している。Youtubeにアップロードされていたのでリンクを貼っておく。

https://youtu.be/VRl89rUR-TE

どういう内容かを書くのも不快だ。ヘイトウォッチングをお望みの奇特は方は、上記動画を見てもらえればいい。戸塚氏が本当に汚いやり口をするのだな、と思う点は、「嫌がる4歳児を海に投げ入れる」など、身体に外傷などが残らないような方法をとっているからだろう。恐らくは、傷害事件等で立件されないように工夫している。だてに、長年この方法でメシを食っているだけのことだけはある。

それにしても、どうして戸塚氏は、テレビカメラの前で幼児体罰の映像を撮らせたのだろうか?しかも、相変わらずニヤニヤしながら、見せつけるように、だ。この点について考察してみたい。

戸塚氏が悪目立ちを狙う理由

不思議な話である。なぜ、テレビの取材を受け入れたのだろうか?戸塚ヨットスクールの事件で、散々とマスコミから罵声を浴び、事あるごとにマスコミへの憎悪を示している。それにしてもマスコミを憎悪しているのであれば、取材者に対して、暴言を吐き、モノでも投げながら怒りでも示すようなものだ。

しかし、実際は違う。「マスコミが嫌い」といいながら、こわばった笑み(例のニヤニヤ顔)を浮かべながらテレビの前でコメントする。そして「体罰は必要」「体罰は教育」「体罰は相手の潜在能力を引き出す」等々の持論を展開する。

マスコミ嫌いを自称する人物がマスコミの前でニコヤカに話す理由は簡単だ。自分のビジネスの宣伝になるからだ。戸塚氏が「体罰は善」と称し、幼児を海に放り出すような醜悪な画像を放送されれば、99.9%の人間は不快になる。しかし、手の掛かる幼児の躾を放棄したいと願っている0.1%の親にメッセージがとどけば、戸塚氏はOKなのである。彼にとって99.9%の人間からの批難は織り込み済みで、屁でもないと思っている。戸塚氏を「産業廃棄物処理業者」と呼んだ人がいたが、要するに、その通りなのだ。

マスコミの対応

今回の件でもうひとつわかったのは、様々な子供の虐待やイジメに関する事件があるたびに、マスコミは戸塚氏のところにコメントを取りに行っていることだ。なぜ、体罰肯定の人物にコメントを求めるニーズが発生するのか?体罰を否定する論調だけで番組や記事を構成すれば、単調になり面白味にかけるが、体罰肯定のコメントを入れることで構成が立体的になり深みがでる・・・とそういう風に考えているからだ。

ところが、体罰肯定派という人間はなかなかいない。心の奥底では体罰を肯定しているような御仁でも、それをマスコミの前で開陳すれば、社会的地位を失いかねない。

その点、戸塚氏は無敵だ。体罰でビジネスをしているわけだから、カメラの前で体罰肯定論をぶち上げてもなんら損失にならない。それどころか、体罰肯定メッセージを発することで自分のビジネスの宣伝にもなる。だから何らか事件(イジメや体罰)があれば、俺のところにコメント取りに来いとまでいう。さんざん、マスコミに叩かれたことに恨みを抱いているにも関わらず、だ。

かくして、「体罰肯定のコメントを取りやすい」という理由で、氏のところにマスコミは向かう。それどころか過去の記事の中には、戸塚氏の自己肯定理論に影響を受け、「『いかなる体罰・暴力も厳禁』という風潮は再考せよ」と、「盗人にも三分の理」のような論調まで発生することになる。ディレクター的には、「議論に深みが加わる」とかなんとかということなのだろう。

教育を放棄する親

金を使ってでも子供の教育を放棄したい親がいる。百歩譲って、家庭内暴力や非行で疲労困憊した上で、戸塚ヨットスクールへ子供を預けるというのであれば、まだ解らなくもない。しかし3歳、4歳という幼児を、短期とはいえ、体罰が加えられると分かっているところに預けるというのはどういう神経なんだろう。

3歳、4歳というのは、極めて不合理な理由で癇癪を起こすし、親のいうことを聞かないということもあるだろう。それが、この年頃の子供の仕事だといってもいい。親からすれば、戸塚の所に一度預けることが楽なのだ。子供のわがままに付き合わなくてもいいし、自分の。その後、子供が駄々をこねたら「また、戸塚ヨットスクールへ入れるぞ!」といえば、その恐怖から直ぐに従順になることだろう。しかし、このような目先の楽さを手に入れても、後々、子供との関係がどのようなものになるか分かったものではないぞ・・・といったところで、この手の親は聞く耳持たぬのだろうな。

まとめ

要するに、体罰ビジネスを展開している戸塚氏と、教育放棄したい親と、マスコミが互いに共栄関係にあるということだ。その被害者は、このような親に、このような社会のもとに生まれ育った子供たちということだ。幼児だろうが青年期だろうが、受けた暴力は忘れることはない。児童虐待が連鎖するというのは、様々な調査で明らかになっているわけで、これは将来に禍根を残すことになる。

戸塚氏がああなのは、もう矯正しようがない。これから仮に刑務所に入ったところで、あらゆる事柄について自説を強化するだけだろう。

マスコミ各位には、とことん戸塚氏を無視することを切望する。でも、無理だろうな。「理想論では世の中回らない」と思っている人が大部分であるし、なにより「人間は変わらない」のだから。そして、戸塚氏は、そのことを証明してみせている。