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無知と無能の間に

無知無能者、固人之所不免也

キュレーションサイト騒動の照らす道筋、その2〜シリアルアントレプレナーという連中

ビジネスモデル 企業経営

年末ジャンボ宝くじの売り場に行列ができる今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか。

宝くじ売り場にたむろしている連中を横目で見ながら「社会の底辺は本当に馬鹿だな。確率でいえば、毎日宝くじを買って一等が当たるより、毎日飛行機に乗って飛行機が墜落してしまう方が遥かに高いのに、それすら理解できない可哀想な連中だ」といっていたのは、ある起業家だ。ま、私も宝くじ売り場の風景を見て同じようなことを思わない訳ではないが、論点がずれるので話を主題に移す。

さて、村田マリという人物が物議を醸している。キュレーションサイト騒動で、閉鎖に巻き込まれた「iemo」をDeNAに売却した人物だ。サービス開始から9ヶ月で売却し、約15億円を手に入れたとされる。そして、彼女は在シンガポールであるため、含み益がある株式を保有したまま日本国外にいるので、売却には日本での課税がなかったといわれる。

村田マリという人物は、シリアルアントレプレナーと呼ばれてもいる。直訳すると連続起業家というところで、会社を作っては、それを高く他に売るのを繰り返している連中だ。ユニコーンだとか、スピード感とか、エグジット戦略だとか、キラキラワードが口をついてでてくるが、頭の中はどこから金を引っ張ってきて、どこに高く売り払うかを考えているだけだ。と、批判したところで、金は彼らのところに集まってくる。彼らの計算通りに。

何度かこの階層の連中の講演を聞いたことがある。あるシリアルアントレプレナーがある有名大学の起業家育成セミナーに潜入して、聞いた内容でわすれられないことがあった。

そのセミナーある学生が「起業に興味があるのですが、一度企業に就職した方がいいのか、大学でていきなり起業した方がいいのか迷ってます。どちらがいいと思いますか?」と質問した。すると講師は間髪入れず「起業家になりたければ、すぐに起業家の世界に入ったほうが良い。就職すると『人に使われる』ことに慣れて、起業家としてはダメになる。起業には金集めの方法と人を使うスキルが必要で、若いうちに起業家の世界に飛び込んで身につけた方がいい」という答え方をしていた。要するにケチ臭いサラリーマンと起業家たちの世界には大きな溝があり、そこでの選択の後には、容易に飛び越えられないゾ、ということを言っていたわけだ。

パワポ資料1つで、数億円単位で金を集めて、その10倍で売却する階層と、そいつらの作ったサイトで月に数十〜数百万レベルで稼ぐ階層と、そして、そいつらが用意したパクリ記事を並べたキュレーションサイトを暇つぶしに眺めながら宝くじの売り場の行列に並ぶ階層がいる。そしてそれらの階層は、自分の下にいる階層の連中を影で「馬鹿」「貧乏人」呼ばわりしながらも利用して、自分たちの領域の中で金を回している。そこに分かりやすい貧困はない。しかし絶望的な分断であり、これが今の格差社会なのだ。

あの連中が金を右から左に流すことだけしか考えていなくて(実際、それしか考えていない)、社会の悪だと叩くことは簡単だ。今回の村田女史がどうなるかはわからない。すでに魔女狩り前夜の様相になっている。しかし、いい子ちゃんのセリフを吐かせてもらえれば、魔女狩りをしたところで我ら貧民層の鬱積を晴らす娯楽として消費してしまうだけでは、トランプ現象とおんなじであり、結局は自分の首を締める結果にもなりかねない。

もっと怖いのは、自分より下の階層は見えている気になっているが、自分の上の階層を認識できていないことだ。そして理解しているつもりの下の階層から、上が美味いことやっている姿が見えてしまったときに強烈なカウンターがやってくるということかもしれない。