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無知と無能の間に

無知無能者、固人之所不免也

エコキャップ顛末

企業経営 国際貢献

少し古い話題だが、日経ビジネス7月27日号にエコキャップ推進協会の理事長のインタビュー記事が掲載されていた。2015年4月頃にマスコミに取り上げられた「世界の子どもにワクチンを届ける目的でペットボトルのキャップを集めているのに、ワクチンとの交換されていない」という問題で矢面に立たされた組織の人物だ。

この記事に書かれているエコキャップ推進協会の理事長へのインタビューの概要をまとめると、以下の通り

  • ペットボトルキャップのリサイクルを思い立ったきっかけは、本体のリサイクルは行っているのにキャップはしていないという気付きから
  • キャップのリサイクル品をメーカーに持ち込んでみると採用が決まり、本格的な事業に乗り出す
  • 2007年に「エコキャップ推進協会」を設立
  • ポリオワクチン代として寄付することを決めたのは、設立当時に「世界の子供にワクチンを日本委員会(以後、JCVと表記)の代表と会い、寄付することにした
  • キャップ回収にあたっては、JCVへの寄付を表記し、受領証にも「ワクチンxx本分に相当」書き入れていた
  • ただ、エコキャップ推進協会とJCVとの間に契約書はなかった
  • 2014年、キャップ回収と分別をするエコステーションを設立し、そこで障害者を雇用するため1134万円を拠出
  • 2014年、取引先の経営破綻で2200万円の売上が回収不可になる
  • 2014年9月以降、上記の事情によりJCVへの寄付は行っていないのは事実
  • 寄付がないことを非難する旨の内容証明郵便がJCVから送付されてくる
  • 活動によって私服を肥やしたことはない

一方、JCV側の主張は、以下の通り。

  • JCVとエコキャップ推進協会との組織的つながりはない
  • しかしJCVの名前を使って、キャップ回収しているのだから、別用途に使い、ワクチンに寄付しないのは問題

ビジネスモデルとして考える

エコキャップ回収については、どれだけの収益が上がっていたのか、この記事でわかった部分もある。2007年に始めた最初の収益でワクチン代を寄付した額は約23万円。その後、急拡大して2014年8月期の収益は約1億円。

キャップ回収による活動の当初よりに、輸送、分別、保管にかかる費用を考えれば、その分を現金で寄付したほうが良いという論はあった。慈善活動であることから、輸送、分別、保管にかかるコストを安くすませた部分はあるだろうが、これだけの収益を出したという点は注目しておきたい。

この問題にいろいろ意見を持つ人はあるだろう。ただ、ビジネスモデルとしては成功した。このエコキャップリサイクルによる慈善活動は、日本人の持つ厄介な部分をうまく解決した。要するに「金は出したくないが、どうせ捨てるペットボトルのキャップで社会貢献でき、自分の幸福度を上げたい」という顧客ニーズを体現したビジネスモデルだ、ということだ。

その後

JCVとエコキャップ推進協会は、別の道を歩むことになった。JCVはJCVで独自にキャップ回収を始めた。JCVのキャップ回収代表者には、大手のスーパーチェーンや百貨店も名を連ねている。

ありきたりな結論になるが、善意をベースに置いた活動こそ、詳細な情報開示を行うべきだろう。

だが、エコキャップ推進協会のサイトからもJCVのサイトからも今回の寄付金騒動の件は、すべて削除されている。お互いにこの件は黒歴史なのだろうが、だからこそ記憶として残しておくべきだろう。

また、他の意識高い系の団体にもいえることだが、実務があまりにも下手だ。契約書すら交わしていないという両組織が、収益を効率よく効果的に活用できるのか。

参考