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無知と無能の間に

無知無能者、固人之所不免也

2016年アメリカ大統領選挙まとめ、その4〜ネット民主主義の行き着く先はポピュリズムなのか?

結局、2017年以後、トランプ大統領が誕生した後に何が起きるのか?

トランプの一番の問題点は何か?

町山智浩氏が指摘していることだが、トランプという人物は共和党の大統領選に出たことのあるパット・ブキャナンが人種差別発言をしたときに「そんな発言すべきではない」とたしなめた。フォックスニュースのトランプ氏へのディベートでも「過去に人工中絶も賛成だったし、同性婚容認であったし、ビル・クリントン政権も支持していた」と指摘されていた。

要するに、トランプという人はポリシーがまったくないということだ。どういう国にするかという理想をもっていない。アメリカの軍事拡張も、メキシコとの壁を築くという発言も、イスラムへの差別発言も、「選挙のためのセールストーク。言ってみただけ」ということだ。つまり、トランプという人物は「アメリカをこういう国家にしたい」という理想は無い。だから前言を覆すというのは、なんの躊躇もなくやることができる。

かっこ良く言えば「予測不能」ということだ。たぶん「最終的には、金で転ぶ人」なのだ。「その手の平いつ返したんだ?」というくらい180度の方針転換は平気でやる。しかも感情的になりやすい。だからロシアや中国はトランプ氏を歓迎しているのだろう。「こいつを転がすのは簡単なことだ」と。

人間は、良くないことが起きた時に、「いやいや状況は案外よいかも」と根拠の薄い楽観論に傾くように遺伝子が設計されている(自己防衛バイアス)。トランプまとも論を見聞きするにつれ、人間というのは頭が良いと思うような人物でも、根本的にこのバイアスを制御できないものだなというのが分かっただけだった。

まさか?

  • 懸念その1

トランプ氏の政策をマジでやろうとすると、公共事業拡大による財政出動と大規模減税による歳入減が同時に起きるわけで、アメリカの財政赤字は拡大する。とすると手っ取り早いのはアメリカ国債のデフォルト(不払い)なわけだ。そして一番悲惨な状況になるのはアメリカ国債を大量に保有している日本と中国なわけだ。まさか?

  • 懸念その2

核のボタンを押してみる。まさか?

政治は?

2017年は、フランス大統領選挙があり、極右国民戦線のルペン女史が選ばれる可能性がある。オランダも総選挙があり、EU離脱派が勝利するかもしれない。EUはフランスが抜ければ、実質崩壊ということになるだろう。通貨と経済と安全保障の統合だけ残すという方法も、あるかもしれないが、いずれにせよ揉める。緩やかな連合を目指す形もあるかもしれないが、壊れる時間に比して再構築には時間がかかる。

日本は、もちろん憲法から人権を削除し、戦前の価値観に回帰したいと願い岸信介を神聖視している我らが安倍ちゃんだ。ポピュリズムに関しては、世界が日本に追い付いてきたという感もある。「都民ファースト」とか寝言をいっている現代に現れた東京の「淀君」に関しては、別記事で茶化しておきたい。

経済は?

アメリカは政策金利を上げる方針を確認した。EUは来年のフランスとオランダの選挙も見据えて、資金を引き揚げる動きがでるかもしれない。となると、トランプ氏が正式に大統領の座につくまではドル高傾向が顕著になるだろう。ただ、トランプ氏は海外生産を国内に戻して国内のブルーカラーに仕事を与えるというのは、「いまのところ」は一貫しているわkで、基本的にはドル安論者と思われる。恐らくは行き過ぎたドル安(とトランプが考えれば)、中国元や日本円に対して切り上げ圧力を売ってくるかもしれない。目論見通りであれば、来年前半は、為替が大きく乱高下するかもしれない(外れても知らない)。

結論

要するに先が読めない。

トランプ氏を支持している人達も根っから右翼思考というわけではなく、ラストベルトの人達は4年前にオバマ氏を支持し、しかも今現在もオバマ氏を支持している人たちが、トランプ氏に投票するということが起きた。雑多な集合で思想的な左右を超えて、目の前の不満からトランプを支持したわけで、まったく理念の無いトランプが大統領に選ばれるというのは、ディストピア小説そのものだ。

2016年は、ソ連崩壊から四半世紀の25年が経過し、勝利したはずの資本主義陣営の中にが新自由主義グローバル化に反発する勢力がいよいよ先進国とよばれる地域にも侵食した。ソ連の存在とソ連との対立は、核戦争という「わかりやすい世界の終末」を提示していたが、ソ連の崩壊で、世界の見方が良くわからなくなった。反グローバル化というものも、結局のところ「『反アメリカ連合』『反新自由主義』『反エスタブリッシュメント』とう名のグローバル化(寄り合い所帯)」ということだったわけで、グローバル化で不利益を被ったと思っている人々の被害妄想をどう解決するのか(解決しないのか、できないのか)という問題なのかもしれない。