無知と無能の間に

無知無能者、固人之所不免也

1、2、3で1か8か

※予め書いておくと、ここに書かれた内容は「あくまで個人の憶測」です。

テレビ東京は、特定の企業・団体に対してこれはまた特定のポジションをとった番組作成をする存在である。であるので、この局のドキュメンタリー仕立てで特定の企業を取り上げたものは、「注意深く番組を視聴」する必要がある。

そして2017年2月の「カンブリア宮殿」に、レオスキャピタルのファンドマネージャーである藤野氏が登場していた。レオスキャピタルは投資信託に興味を持っている人なら知っているであろう、高いリターンを誇っている注目の人物である。「ひふみ投信」は2016年2月からの1年で基準価額が約25%の上昇、「ひふみプラス」は約16%の上昇という実績を残した。番組では、その秘訣として、ファンドマネージャーである藤野氏が自ら地方にある企業の現場に足を運び、投資価値があるかどうかをその目で確認することなのだという。なるほど「現場主義」というやつだ。

さて、本題。2016年6月6日、日経新聞が「レオスキャピタル、大塚家具株を5%超取得」と報じた。しかしその後に、大塚家具は、黒字予想から15億円の赤字転落が発表され、株価は12月末の配当権利落ちで1000円を割るに至った。

ところがである。レオスキャピタルの回であったはずの「カンブリア宮殿」で、大塚家具がやたらと紹介された。番組全体で5分近く、大塚家具の話が占めていた。現社長の大塚家具の売り場訪問を映し出した。現社長の人間臭さをアピールしたあげくに、例のお家騒動を起こした父親にあたる前の社長にも入れ込んだとまで、番組の中で言い放つ。しかも、自身が野村でのファンドマネージャー時代に、お台場の大塚家具の巨大ショールーム建設について、周囲がリスクが大きいとみたときに、本人はお台場からの夜景をみて行けると確信したのだという。嘘くさい。どう考えても嘘くさい。現場主義を実践している人間が、本社ショールームからの夜景が綺麗だから投資を判断したというのか?。そもそも、本当にそんなことが人生の転機になるようなことか?それに、当時は「ウオーターフロント」と喧伝して、東京湾岸沿いの企業を徹底的にプッシュして相場を煽っていた会社に在籍してたんじゃないのか?

そして放送翌日、日経平均株価が下がる状況で、大塚家具は、市場が開いた直後から高値をつけ、終値が995円の20円高。翌週には1000円台を回復。これを恣意的な株価操作であるといえるかどうかはわからない。出演条件として、大塚家具の話をねじ込むというのが条件だったと疑われてもしかたがない。ただ興味深い現象であるとは言っておきたい。

番組の後半、藤野氏が成長する企業の見分け方をクイズ形式で話すという構成となった。その中で、藤野氏は「自伝書を配る社長の会社は投資しない」と語った。理由は「自伝というのは過去を語るもので、成長する企業の社長というのは、過去ではなく、未来を語るものだからだ」なのだそうだ。

では私からもクイズを出そう。「テレビに出演して過去の自身の投資を語り、しかも株価を大きく下げた出資先の企業を紹介するファンドマネージャーは、出資するに値するものか?」