Qドラム
Qドラムとは
円筒の中心が空になった、ドーナツ形状したプラスチック容器。ここの中に、水を入れて、ドーナツの輪にロープを通して、楽に水運びできるようにしたものである。南アフリカのPiet Hendrikse氏が開発。彼が貧困層の子供たちが水運びを生活の日課としており、手押し車や古いドラム缶を転がしている光景をみて、アイデアを練ったという。
「苦痛な水運びを、楽しさに変える」ということから、この形状に行き着いた。Qドラム一つで約50リットルの水を運ぶことができる。
プラスチックをそのまま車輪として使うというのは、耐久性に疑問がつく。ただ、開発者らは「Qドラムは毎日使っても少なくとも8年は持つ耐久性がある」と主張している。
ビジネスモデル
公式サイトを読む限りは、「売り切りモデル」。
価格は最小ユニット(1〜5)で890ランド/個(約9000円/個)。350個以上のまとめ買いで636ランド/個(約6500円/個)。まとめ売りの価格表示をしているということは、援助団体がまとめて購入して、現地で配布することがビジネス形態として想定している。
論点
BOPとして、デザイン思考として一瞬のインパクトのある製品だ。ただ、もう少し冷静な見方は必要。
- ビジネスモデルの貧弱さ
実際の問題として、途上国の貧農層が自前資金で購入するのは難しいだろう。ということは、「援助団体がまとめて購入し配布する」というのが実質的な販売方法といえる。水運びを楽にすることはあるだろうが、その先がない。
- 児童労働をある種の必要悪としている
それを批判しようとは思わないが、「労働を遊びに」という考え方は、注意が必要。